空の道に関する特許で将来的に年商150億円を見込むベンチャー企業をご存知でしょうか。
上空シェアリングサービス「sora:share(ソラシェア)」を提供する(株)トルビズオンは、市町村やJAと連携してドローン配送に関する実証実験を繰り返しています。
今回は空の道を実現するソラシェアがどんなサービスか、またソラシェアを支えるビジネスモデル特許について調べてみました!
目次
ソラシェア(sora:share)がどんなサービスか一言でいうと「ドローン配送サービス」です。
ドローンをつかった空飛ぶ物流サービスはAmazonやGoogle, アリババといった世界中の大手企業がこぞって開発・実験を進めています。
実現すれば大容量の陸の物流と合わせて、空の高速道路を使った小回りの効くピンポイントかつ短時間の配送が可能となります。
しかし、実現に向けての課題は多く、ざっと挙げると以下のとおりです。
- 航空法
- 民法
- 騒音リスク
- 墜落リスク
- 盗難リスク
- 盗撮リスク
- 危険物輸送リスク
- 衝突リスク
- 重量制限
- 本人確認の方法
- 人材の育成
特に法整備は大変です。
航空法では150m以上の上空や民家の密集地帯等を飛行することは禁止されており、飛ばそうと思うと国土交通省からの許可と承認が要ります。
また、民家の上空300mまでは土地所有者の権利となるため、民法上訴訟を起こされないためには随時許可を取る必要があります。
一軒一軒許可を取ってまわるのは、相当な労力が必要ですし、その他の問題からもあまり現実的ではありません。
なので、現状は過疎地や山岳地域を中心に、農作物の配達などの実証実験が行われている状況です。
ですが、ソラシェア(sora:share)では、こういった問題をビジネスの視点から土地所有者と配送業者がwin-winとなるよう、IT技術を使って解決を試みました。
そしてその新規性を認められ、ビジネスモデル特許を取得するに至ったのです。
空の道の特許?ソラシェアのビジネスモデル特許とは?
空の道(空のインフラ)を整備するためにトルビズオンの増本社長は「ビジネスモデル特許」を取得されました。
ビジネスモデルというと「利益を生み出すサービスや製品に関する事業戦略や収益構造」を指し示す言葉ですが、ビジネスモデルそのものは特許にはなりません。
「こんなビジネスモデルを考えました!」と声高に言ったからといって、そのモデルを実現するためのヒト・モノ・カネ、すなわち物理的かつ新規性のあるリアルな仕組みがないことにはマネタイズできないからです。
特許とは先行利益・利権を守るものなので、ビジネスモデルだけでは机上の空論となるため、特許の取得はできません。
ではビジネスモデル特許とは何なのかというと、ビジネスモデルを実現するための新規性のあるIT技術・ITモデルに与えられるものです。
そして、以下がソラシェアのサービスを実現したビジネスモデル特許です。
◯ 空域利用促進システム、空域利用促進方法、サーバ装置、及びプログラム|astamuse
難しい。。。
私も専門家ではないので、かいつまんで要約してみると、
- 空中に緯度・軽度・高さで表現される座標を設定します
- 空間の4点ずつで構成される入口および出口を定義します
- 座標をドメイン化します(イメージ的にはDNSサーバの要領)
- ドメイン化は土地所有者のドメイン発行要求に基づき行われます
- ドメインや土地所有者の情報をまとめてデータベースに保存・検索できるようにします
- 配送業者のドローンが上空を通ると土地所有者に自動で使用料が支払われます(イメージ的には高速のETC)
- ドメイン取得者や空の道のルート内の土地所有者には保険に加入してもらいます
- ドローンの通行料の一部が手数料としてソラシェアの収益となります
なにが新しいかというと、土地所有者が自ら空中権を登録・発行できる仕組みをつくったこと。
そしてその権利を必要とする配送業者が検索・利用手続きできる仕組みをつくったこと。
このあたりでしょうか。
利用には自動決済するためのデバイスが必要なはずなので、そのデバイスのレンタル・販売、ドローンとの抱き合わせでのレンタル・販売、ドローンの給電スポットとしての「空の駅」など、ビジネス展開に夢が膨らみますね!
おわりに
空の道に関する特許で年商150億円を見込む(株)トルビズオンの「sora:share(ソラシェア)」についてご紹介しました。
正直、ITモデルの概要はそこまで目新しいものではないと感じます。
しかし、細かい部分の技術的なつくりこみ、法的な部分の調整、保険内容の整備、市町村やJAとの連携等など、とてもしっかりとしたビジネスモデルだと思いました。
こういったドローン配送サービスが普及してくると、森林や過疎地域の土地価格等も社会的に見直されそうですね。