元号が変わることによる影響。ビジネスや経済,システムはどうなる?

平成から新元号へ

 

2019年4月1日。

新元号が発表されるまで、いよいよあと1週間となりました。

新しい元号はどんな二文字になるのか、ワクワクしている今日この頃です^^

今回は元号変更に至るまでの簡単な経緯と、元号変更による影響について考察・まとめてみます。

目次

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元号が変わることによる影響

元号の変更に伴う影響を考える前に、元号変更に至るまでの経緯について簡単におさらいしてみます。

2017年12月の皇族会議で、現天皇陛下の退位日が2019年4月30日に決まりました。これまでの慣例に従えば「一世一元の詔」が発布された明治以降は天皇陛下が崩御すると同時に改元が実施されてきたのですが、体力的な問題や皇太子様への引継ぎを余裕をもって行えるようにとの思いやりから「生前退位」というかたちを初めて取ることとなりました。

この決定は英断だと個人的には思います。天皇陛下の崩御でバタバタした状況で、突如皇太子様が即位して各国への挨拶回りなどするよりも、「うちの息子をよろしくお願いします」と東京オリンピックの格好の機会に堂々とお披露目したほうが、その後の関係も円滑に進むと考えられます。

 

で、折角生前退位の上、事前に新元号を発表するという方針を固めたにもかかわらず、改元日(2019年5月1日)の1ヶ月前にしか新元号を発表できないのはなぜなのか?後述する様々な影響に早期に対応するなら、発表は早ければ早いほうがいいはずです。

当初は2018年秋頃に公表できるよう調整する予定だったようですが、「あまり早いと盛り上がらなくなる」という嘘か真かわからない理由で先送りになったそうです。背景には生前退位や新元号の事前発表に反対する保守派の存在があったようではありますが。保守派は新天皇のもとで発表されるべき新元号が事前に発表されるのは納得行かないし改元法にも違反しているとゴネたようです。

確かに現天皇が健在であるのに先んじて元号を発表することは現天皇への不敬であるという考え方や、新元号は新天皇のもとで新しい時代を照らし出すために即位後に発表するべきものであるという考え方は、わからなくはありません。明治より前にコロコロ改元されていたのは、疫病や災害、戦乱などの時代の悪い流れを断ち切り変えようとする試みであったのですから。

 

とはいえ、現天皇の意向を汲み決定した事実に異を唱えるほうが不敬なのではないかと、そう思います。私はこの辺の事情に詳しいわけではないので、現天皇が本当はどうしたいのか、それを周りがどう解釈しどう動いているのかを正確に把握しているわけではないため憶測混じりの物言いではありますが。

左よりの意見を聞くと、西暦がグローバルスタンダードなのだから元号自体この機会に廃止してしまえばいいという話もあるのですが、元号廃止がそのまま「皇室は不要なのでは?」という考えに繋がりかねないことや、元号法によって法的根拠が与えられているためにわざわざ廃止すること自体が手間であること、そして何より日本人の日本人たる所以にかかる部分であることから、そう思い切ったことはできないのでしょう。

 

退位日の4月30日にも触れておくと、このような中途半端な時期になったのは、年始1月1日は天皇陛下の新年祝賀の儀や新年一般参賀と重なるため、年度始めの4月1日は地方統一選挙が実施されるため及び一般企業の異動の時期であるためといった理由からのようです。

 

長くなりましたが、ともあれ新元号の発表は2019年4月1日、新天皇の即位は2019年5月1日に決定しました。

 

では、私たちにどのような影響があるのか見ていきましょう。

GWの10連休が確定!

有給を取らなくてもゴールデンウィーク(GW)が10連休です!4/27(土)〜5/6(月)までの10日間が休みとなります。5月1日(と10月22日)が2019年限りの祝日となるため、祝日法に則ってぷよぷよの連鎖のように休みが結がるのです。

単純に考えれば喜ばしいことなのですが、賛否両論あるようです。

非正規労働者の賃金に大打撃

時給制あるいは日給制で働く一部の非正規労働者は休みの日数分給料が減ります。

GWは保育園や幼稚園、学校も休み

土日仕事のご家庭は大変です。託児所も休みになる可能性があります。また、4月中に新しい環境に慣れたお子さんたちが、5月病のように休み明けに行きたがらなくなる可能性もあります。

GWは病院や診療所も休み

もちろん病院や診療所もお休みになります。ただし、日本医師会が生活に支障をきたさないように対応したいと述べているため、地域の指定医療機関など、主だった病院は休まずに開院している可能性が高いです。最寄りの病院が開いているか、気になる方は確認されたほうが良いかもしれません。

GWは銀行や金融機関も休み

銀行や金融機関も勿論お休みです。ATMは開いてはいますが、下手するとシステムトラブルで使えなくなる可能性もあります。

2019年は平成と新元号の2つで表記される

2019年1月1日〜2019年4月30日までは「平成31年」、2019年5月1日〜2019年12月31日までは「新元号元年」となります。
年度でいえば、2019年4月1日〜2019年4月30日までは「平成31年度」、2019年5月1日〜2020年3月31日までは「新元号元年度」ということですね。

運転免許証の表記が変わる

特になにか対応しないといけないことはありませんが、運転免許証の有効期限の表記が西暦と元号の併列表記となります。昨年12月に警察庁が決定しました。改元が直接的な理由ではなかったようです。

新元号対応を依頼する詐欺に注意

金融機関などを装い、新元号に対応するようアプリのインストールや設定を促したりする詐欺が発生する可能性があります。

「平成生まれか!」とか「平成最後の◯◯」とか言わなくなる

俗っぽい話になりますが、平成生まれの人にとってはこれが一番大きいかもしれません。私は昭和生まれなのであまり関係なかったですが、「平成生まれか!」と言われているのを聞くたびに、何となくディスられてるような気分になってたのは私だけでしょうか。多分、暗に「ゆとり世代」と関連して想起されるからでしょうね。

あと、鬱陶しいくらい聞いてきた「平成最後の◯◯」がようやく終わります(笑)多分次は「☆☆(新元号)最初の◯◯」とか言うんでしょうけど^^;

災害や天変地異に要注意?

改元と天変地異の関係について唱える人もいます。私は都市伝説やノストラダムスの大予言的なものと捉えています(笑)昭和、明治、応永(1394〜1428)に次ぐ4番目の長さだった平成が終わるので躍起になっているのでしょう。

確かに明治より前は災害や天変地異を節目に改元することもあったため、的を射てなくはないと思います。でも、卵が先か鶏が先かって話で、災害→改元なのか改元→災害なのか疑問が残るところです。

元号が変わるとビジネスはどうなる?

ビジネスへの影響はどのようなものがあるでしょうか。

 

GWが10連休になることで観光業界は例年より早いペースで予約が入っているようです。

小売業界でも記念セールや記念品の需要増が見込まれるでしょう。貨幣のデザインが変更されたり、記念硬貨がつくられる可能性もあります。

IT業界はシステムの改修(詳細は後述)に追われることとなりますが、それによる収益増が見込まれます。

印刷業界も元号表記になっている印刷物の直しが必要になります。特に金融機関や行政機関の書類は大量にあります。一般企業では顧客との取引書面など平成32年以降の表記が入っている契約書は、法的には修正の必要はなさそうですが企業ごとに対応は異なりそうです。

カレンダーや手帳などの印刷物は大変です。既に販売済みのものは、あとから対応できるように訂正シールをつけるなどの対策は講じているようですが、修正しなければならないものもあるでしょう。

 

商標登録で一儲けという流れも出てきそうなところですが、その点については今年1月に特許庁が新元号・旧元号を含む商標登録を禁止しました。

例えば、平成◯◯や昭和◯◯といったものです。「大正製薬」のように名称が定着しているものは問題ありません。「平成ノブシコブシ」のように元号のあとにユニークな◯◯が入るものも問題なさそうです(とは言え個別判断となりますが)。

 

金融機関における手形や満期への対応は概ね以下のようです。

  • 平成表記の手形や小切手は原則そのまま使用可能。新元号に訂正する場合は「平成」に二重線を引き、新元号を記入(訂正印不要)。
  • GW中に満期日が到来する取引はその日を満期日とした非継続扱いとし、かつ5月7日以降に入金される。
  • GW前後の各種手続きには通常より時間がかかる。ATMは使えるが、システムトラブルが起こるかも…。

 

上記のような諸々のビジネス上の影響から経済全体への影響は大きく、それに伴って株価も変動するので新元号関連株は盛り上がりを見せるでしょう。

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元号が変わることによるシステムへの影響

最後にシステムに関連する影響について考えてみます。

 

パソコンやスマホの普及からもわかる通り、多くがシステムに依存した社会となったいま、昭和→平成とはまったく状況が異なります。保守派の方々を慮って新元号の公表日を4月1日まで遅らせたようですが、どうせ事前に公表するなら早いこと公表しろよと思います。

 

主に影響を受けるのは、生年月日などを和暦で入力するようにできたシステムです。「西暦和暦くらいでガタガタいわず、上手いことやるように作れよ」って一般の方は思うかもしれませんが、そんな簡単な問題ではありません。

それ単体で動くシステムならたかが知れてますし、きちんと対応させるべきだと思います。しかし、複雑に絡み合った古くからある大規模なシステムや、継ぎ接ぎだらけの企業の社内システムなどは話が違います。

 

特に金融系のシステムなど、どこに古いプログラムが埋まっているのかわかったものではありません。A銀行が新しいプログラムを使っていたとしても、取引先のB銀行が古いプログラムを使っていれば、その間の取引データの送受信がうまくいかないことだって起こり得ます。自分のとこだけ対応すれば済む問題ではないのです。

 

行政系のシステムも話は同じです。各省庁や地区市役所のシステムが複雑に絡み合って成り立っています。改修が間に合わなかった際の次善策として以下の対応が発表されてはおりますが。。

  • 証明書類を訂正印を用いて訂正する。
  • 「平成」表記でも有効である旨を示した証明書を作成する。
  • 「新元号」を表記した書類と交換してもらうことも可能。
  • 「平成」表記でも有効である旨を電子申請の画面に記載。

 

各企業の情報システム部門でも戦々恐々としているところもあるでしょう。大手企業ではWindowsのアップグレードすらシステムへの影響を考えズラして行うものです(例えば10が普及した頃に未だ7を使っているなど)。業務影響を考えて安定したバージョンを使うのは当然といえば当然の話です。

 

2000年問題のときは目立った事件は起こらなかったように思いますが、今回も同じとは限りません。菅官房長官がシステムの改修には1ヶ月程度かかると謎のスケジュール感を語ってましたが、1ヶ月で全て片がつくとは到底思えません。

多くの会計ソフトを動かすWindowsのシステム改修を、法人税の納付期限に当たる5月末に間に合うようにスケジュールを組んだという噂もありますが、真偽のほどはわかりません。

 

改修に関係するシステム屋さんはGW返上で改修作業・保守・運用を行うこととなります。。ちょっとくらいATMが使えなくたってスマホアプリが使えなくたって電車が止まったって寛容な心で見守りましょうね。

元号が変わるだけなのに。

調べるほどに思ったのは、たかだか元号という固有名称1つ変えるだけなのに、多くの人が途方もない労力を費やし、政治・経済に多大な影響があることです。

元号を変えることと、天皇陛下が変わることがニアイコールとなっているから、妥当な労力なのかもしれませんが。ですが、書類やシステムの話と天皇陛下が変わることは全く関係ありませんよね。

それほどに元号の持つ力が日本では大きいということなのでしょうか。これまでの歴史がそれだけの力を持たせたということなのでしょうか。考えるほどに不思議な世の中だと思います。

 

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