中学生になったらいよいよ部活が始まりますね!
何の部活にしようか、いまから楽しみなことと思います。
私は大学以降、軟式テニス(ソフトテニス)と硬式テニス、両方をやってきました(メインは軟式です)。
その経験から、新しくテニスを始めるなら軟式と硬式どちらが良いか、私の意見をお伝えしようと思います。
目次
テニスの軟式と硬式の違いとは?
まず、軟式テニスと硬式テニスの違いについてですが、これはもう、スポーツとして別物と考えてもらったほうがいいです。
技術的な部分は似通っている面もあれば、そうでない面もあります。順に見ていきましょう。
ボール
軟式は白いゴムボールで約30g強と軽いです。ラケットに当たった時、ボールがぐにゅっと縮むので、ボールをしっかりと押すことで推進力と反発力が生まれます。目にあたるとぐにゅっとめり込むので危険です。
硬式はよく見る黄色いボールです。中空ゴムにフェルトカバーで約60g弱と重め。反発力が強いので、ボールを押すというよりは弾く感覚で飛ばします。目にあたると青アザになりますし、痛いのはこっちです。
ラケット
ラケットは「フレーム」「ガット」「グリップ」から成ります。フレームを買って、ガットやグリップが消耗してきたら交換する。これは軟式でも硬式でも同じです。
軟式のラケット(フレーム)は、200g〜250g前後のものが多く、価格は10,000円〜25,000円前後のものが多いです。ガットのテンション(張り上げた時の硬さ、張力)は20〜35ポンド程度。
対して硬式のラケットは、250g〜350g前後のものが多く、価格は20,000円〜40,000円前後のものが多いです。ガットのテンションは40〜65ポンド程度。
硬式のほうがボールが重くて硬い分、ラケットも重くて硬い、ということですね。価格も硬式のほうが割高です(これはボールやガットなどの周辺用品についても概ねそうで、維持費が高くなります)。
また、単純な重量は硬式のほうが上ですが、ラケットの重さは重心によって決まります。軟式でも硬式でも、先端が軽いもの(トップライト)から、先端が重いもの(トップヘビー)まで5段階くらいあるので、スポーツショップで良くわかっていそうな人に聞いて選んだほうがいいです。くれぐれも初心者向けの「軽くて面が大きいラケット」は選ばないほうが無難です。上達してくると後悔することになります。
メーカー
軟式テニス用品の主力メーカーはYONEXやミズノ、硬式テニス用品の主力メーカーはWilson, Babolat, HEAD, Prince あたりです。ウェアのデザインも大きく違いますので、好みの問題ですね笑
ネット
軟式はコート上に長方形のネットをそのまま張りますが、硬式はネットの真ん中部分をベルトで留めて押し下げます。なので、硬式はネットの端のほうが高く、真ん中は端より15cmほど低くなります。これによって硬式のほうが全体的にネットしてしまう確率が低いです。硬式のボールのほうが飛びやすくてバックアウトしやすいので、低い軌道のボールでもコートに収まりやすくなるよう設計されています。
コート
主に、オムニコート、クレーコート、ハードコートの3種類があります。
- オムニコート・・・人工芝と砂を混ぜたコートで、綺麗で怪我もしにくいです。ボールはナチュラルな軌道で、イレギュラーも少ないです。
- クレーコート・・・土のコートで、怪我しにくいです。ボールはあまりバウンドせず、ライン上でボールがイレギュラーしやすいです。雨の日やその翌日はドロドロで使えなくなります。また、夏場などはしばらく放置していると雑草が生えてきて手入れが大変になります。
- ハードコート・・・アスファルトのコートで、膝への負担が大きく、怪我しやすいです。ボールは高くバウンドします。アスファルトがひび割れてくると、そこでイレギュラーしやすいです。
軟式はオムニとクレーがメイン、硬式はオムニとハードがメインとなります。ただ、オムニコートは費用がかかるので、中学校だとクレーかハードのところが多いでしょう。個人的にはハードコートではあまりプレイしたくありません。
認知度
言わずもがな、硬式テニスのほうが認知度はずっと上です。世界的にみれば、ヨーロッパ等では野球以上のメジャースポーツです。対して、軟式テニスはアジアでも一部の地域(日本や韓国)で栄えているマイナースポーツで、世界ランキング等も存在しません。ただ、日本発祥のスポーツであることや、硬式テニスのほうが怪我しやすいことなどから、中学校では軟式テニスのほうが主流となっているようです。
試合形式
おそらく、この試合形式が軟式か硬式か選択する上での最大のポイントとなります。
なにかというと、軟式テニスは「ダブルス」がメインです。要するに2人1組で試合することが主となります。
団体戦に出ても、大抵ダブルス4本に対してシングルスが1本、くらいの比率です。
硬式はその逆で、「シングルス」がメインです。1人で試合に出ることが多く、シングルス4本に対してダブルスが1本くらいの割合です。全くの逆ですね。
また、試合のゲーム数も全然違います。軟式は先に4ゲーム獲ったほうが勝ちとなりますが、硬式は先に6ゲーム獲ったほうが勝ちとなります。
1ゲームが4ポイント先取というのは違いありません。デュースの場合やファイナルゲーム(タイブレイク)の考え方も、詳細は割愛しますが違いはありません。ただ、ポイントの数え方が、軟式は1,2,3,ゲームなのに対し、硬式は15,30,40,ゲーム、となってます。
マナー
学校のカラーや試合会場の雰囲気によってまちまちなので、一概には言えませんが、、、軟式はガラが悪いことが多いです笑。
相手のミスに対して、殊更に「よっしゃあぁぁー!!」「ラッキー!!」と叫んだりします。ポイントやゲームを獲ってガッツポーズしたり叫んだりするのは硬式でも普通ですが、軟式のほうが品がないイメージです。
考え方によっては、相手のミスに対しても全力で喜ぶことで、全力でプレーしていることを前面に出す、というのはあるのですが、他のスポーツではあまり見ない光景です。
あと、中学校だとそんなこともないと思いますが、硬式のほうがチャラい人が多いかもしれません笑
練習
軟式はダブルスがメインなので、前衛と後衛に分かれて練習します。ラリーは皆できるようになりますが、後衛のほうがラリーが上手いことが多いです。前衛は相手の後衛の球を一撃で決めるために、ボレーやスマッシュの技術を中心に習得していきます。
対して硬式はシングルスがメインなので、ラリーはもちろん、ボレーやスマッシュも全員できるように練習していくことが多いです。
打ち方
大きく異なるのは、バックハンドです。
フォアハンドは軟式も硬式も基本はウェスタングリップ(ラケットを地面において、ひょいと拾い上げたそのままの形)で握って打つのですが、軟式はバックハンドもウェスタングリップかつフォアハンドと同じ面でボールを捉えるのに対し、硬式はコンチネンタルグリップ(ウェスタングリップから90°回転させ包丁のように握る)で、ラケットの裏面を使い、更に両手バックが基本です。
硬式の高いバウンドのボールは、軟式のバックハンドだとかなり打ちづらいので、このような違いがあります。また、硬式では多用されるバックハンドスライスですが、軟式ではほぼ見ません。
あと、これは指導者や周りの先輩がどう教えるかによるのですが、ボレーについても軟式ではウェスタングリップが主流でした。ただ、最近は硬式同様にコンチネンタルグリップでボレーする人も多く見かけます。
スマッシュやサーブはコンチネンタルグリップが主流ですが、軟式ではウェスタングリップの人もいます。ただ、ウェスタングリップだと、スピンサーブやスライスサーブがかなり打ちづらいです。
極端な話、軟式はグリップチェンジなしに試合中のすべてのショットを打つことができます。私もグリップをくるくる回すのが苦手なので、コンチネンタルグリップは苦手なままです。ショットの多彩さや要求されるテクニックは、硬式が上だと言っていいでしょう。
中学生にはソフトテニスと硬式テニスのどちらがいい?
まず、シングルスがやりたいのか、ダブルスがやりたいのか、よく考えてみてください。
シングルスだとコート上では一人きり、誰にも頼ることはできません。ダブルスだと味方がいますので、自分のミスをカバーしてくれます。ただ、ミスが続くと味方への申し訳無さから更に身体が固くなってしまうこともあります。個人競技か団体競技かの違いは大きいです。
単純にレギュラー枠の多さでいえば、硬式は6人程度、軟式は9人程度と、ダブルスメインの軟式のほうが多いですが、レギュラーに入れるかどうかは学校のレベルによるところが大きいので、あまり気にしなくてもよいでしょう。
また、そもそも論になりますが、入学予定の中学校には硬式テニス部があるでしょうか?
先に述べた通り、成長期の身体への負担や費用の問題等から、ソフトテニスが主流となっており、中学校で硬式テニス部が存在する学校は全国でも1割程度しかありません。
また、硬式テニス部を増やす働きかけは行われていますが、現状では中体連(日本中学校体育連盟)への加盟もなされていません。これはどういうことかというと、国の主催する全国中学校体育大会や新人大会が存在しないということです。野球やサッカー、バスケ等、部活をやっている人達が同時期に参加する大きな大会のなかに、硬式テニスの種目がないということです。そのため、硬式テニス部所属の中学生は、県主催の大会や民間の大会、全国規模のものだと日本テニス協会主催の大会に出ることとなります。なお、日本テニス協会はこの事実を硬式テニス普及の観点から問題視しており、早くて2021年頃に中体連への準加盟が成立するよう活動しているようです。
このような事情から、中学生で硬式テニスをする人は、硬式テニス部のある私立校に行くか、部活に入らずテニススクールに通うことが多いようです。そうでなくても、小学生からテニススクールに通っていて、そのまま継続ということもままあります。軟式だと中学1年生で横一線スタートになりますが、硬式だと同級生に経験者がいくらかいるなかでのスタートになることも多いのです。
ですので、あなたの状況と環境をよくよく考慮にいれて判断されると良いと思います。もし、硬式でも軟式でも選べる状況なら、指導者や部の雰囲気に加えて、高校、大学、社会人になった時、どちらをやりたいのかも判断材料にされるといいかもしれません。中学校では軟式が主ですが、年齢が上がるにつれ、硬式テニス人口のほうが増えていきます(社会人サークルなどを探すと、地域によりますが硬式サークルのほうがずっと多いです)。指導者のレベル、部員の人数、近隣の中学や高校のレベルなども調べてみるといいかもしれません。
ソフトテニスと硬式テニスでおすすめは結局どっち?
結論は「やりたいほうをやりましょう!」となります笑
軟式テニスはボールを叩いた時の打球感や、相手前衛を出し抜いてやった時のしてやったり感が気持ち良いです。硬式テニスは打球の重さや、ドライブの強さ、コートを独り占めしての自由なプレーが魅力です。
例え、中学校で軟式テニス部しかなくても、高校から硬式テニス部に転向ということもできますし、あなたの環境に合った方法で出来ることを出来るだけやってみてはいかがでしょうか。
個人的にいえば、どっちも体験してどっちも楽しめると一番良いと思います!
まとめ
軟式テニスも硬式テニスも素晴らしいスポーツです。どちらが上とか下とかはありません。
硬式テニス部の人は軟式テニス部の人を見下し、軟式テニス部の人は硬式テニス部の人を馬鹿にする、という構図はよくあることなのですが、放っておきましょう。
私は軟式から始めたので、硬式テニスを「テニス」、軟式テニスを「軟式」あるいは「ソフト」と呼称する日本テニス協会にはイラッとしますが笑
テニスは生涯スポーツですし、下手でも続けていれば楽しくなってきます。ぜひ、素晴らしいテニスライフを送ってくださいね。