「不滅のあなたへ」のマンガ・アニメの考察と感想を書いています。
(※ 原作コミック15巻までのネタバレを含みますので問題ない方のみ先へお進みください。また間違っている箇所や飛躍的解釈もあるかと思いますがどうぞ大目に見てやってください。)
今回はフシが最初に獲得した少年にスポットを当てていきます。
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目次
不滅のあなたへ 少年に名前がないのは何故か
「黒いの」こと観察者によって、意識も感情ももたない球として世界へ放り込まれた主人公。
球は自らの前で息絶えたレッシオオカミへと姿を変えて、狼が生活をともにしていた少年と邂逅する。
少年は数年前に大人達が目指して旅立った「楽園」へと向かったが、その道中の怪我が間接的な原因となり息絶えてしまう。
主人公は少年を獲得し、以後「フシ」と名付けられるまで独り世界を彷徨うこととなる。
1巻の冒頭部はこんな感じでしょうか。
ここで最初の少年に名前がないのは何故だろうと感じます。
黒いのを除けば、みな名前が与えられているのに、この少年には名前がない。
それはおそらく、この少年=フシという確固たるアイデンティティになっていくからではないでしょうか。
黒いのがピオランの死の目前に「自らを形成する姿形に応じて、魂のかたちも変容する」的なことを話しています。
狼に変身した主人公が少年とともに過ごし少年の死を目の当たりにして、はじめて感情というものに触れます。
動物的感覚しかない状態で、言語化できないレベルの拙く乏しい感情。
そこから初めて人間の姿を獲得したことで、言葉は話せずとも大きく揺れ動く人間的感情というものを初めて手にします。
その感情はおそらく、これが本当の自分であり、この姿が本来の自分なのだと錯覚させるに足るものだったのではないでしょうか。
だからこそ、物語が進んで出会った皆が亡くなっていくなかで、皆の姿形を作ろうとしているのに、少年の姿形だけは一度もつくっていない。
無論、少年は楽園へと誘われ、フシの生きる世界で復活することは叶わないわけですが、フシは生き返らせようとする素振りすら見せません。
それはこの少年の姿形こそが自分本来の姿であり、どこか他の登場人物に向ける感覚とは違っているのかもしれません。
自分を人間として形づくる魂や感情の原点がこの少年であるからこそ「最初に良くしてくれた人」とフシは客観的に言うものの、どこか自分自身と切り離せない状態になっているのではないかと感じます。
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不滅のあなたへ フシとノッカーは本質的に同じではないか
現世編に入って、ノッカーは人間との共生を選んだと話が展開します。
死んだ人間に成り代わり生活するノッカー。
少年の姿形を借りて生活するフシ。
どうしてもこの両者が被ってきてしまいます。
両者の違いがなんなのかといえば、ユーキやアイコの言うとおり「愛」なのでしょう。
自分があって他者がいて初めて生まれるもの。
ノッカー=ファイ=魂はおそらく集合体のようなもので、自分とか他者とかいう切り分けの概念がなさそうです。ゆえにそこに愛もない。
作品中では様々な愛のかたちが描かれているので、詳しく書こうとするとごちゃつくのでここではやめておきますが。
生きてきた人間の感情や想いに寄り添い敬意を払うか否か。
この点において、ノッカーとフシが異なるものだと感じます。
フシもノッカーもおそらく誰にでもなれる。
だけど、フシは身近で関わりのあった人にしか変身しない。
それはフシが自分というものを持っていて、ノッカーは自分というものを持っていないからではないでしょうか。
言い換えれば自分と他者を切り分けて考えているか否かの違いともいえるかもしれません。
フシや黒いのが、根で繋いだ世界と自分を切り離す描写も象徴的だと思います。
とはいえ、ノッカーが成り代わる人間についても誰でもいいというわけではなさそうですし、
カハクが死の間際に切り離した長いこと人間とともに生きてきたノッカーが現世編でのキーキャラクターになりそうな予感ですし、
フシのなかで他人の死が軽くなっているのも事実ですし、
フシが特定個人を好きになったり愛したりすることを拒んでいるのも事実。
フシとノッカーは本質的にそう遠くない存在だと感じます。今後の展開次第ですが。。
おわりに
「不滅のあなたへ」のフシと最初の少年について、マンガやアニメを基に考察や感想を書いてみました。
NHKで放映になっただけあって、いろいろと考えさせられる作品だと思います。
今後の展開とどういう結末を迎えるのか、とても気になるところです。
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