テニスにおいて、サーブは唯一自分の力のみで打てるショットです。
サーブの良し悪しでその後のゲーム展開が決まることから、サーブ権がゲームごとに交互にやってくるテニスにおいて、サーブは「負けないための技術」と言えます。
今回はサーブの基本や疑問について書いてみたいと思います。
ストロークやボレーでお悩みの方はこちらへどうぞ↓↓
・ワイパースイングの打ち方(後半部分参照)
目次
硬式テニスでサーブが入らない!
私はソフトテニスから硬式テニスに転向したため、コンチネンタルグリップ(いわゆる包丁握り)が苦手です。ソフトテニスでもサーブはイースタン(斜め握り)やコンチネンタルグリップで握る人が多いのですが、私の場合はウエスタングリップ(いわゆるハエたたき)オンリーでした。
サーブ時のコンチネンタルグリップ特有のプロネーションの動きが難しく、サーブに関しては初心者同然のスタートでした。
その他にもバックハンドとボレーが全然違うのですが、興味のある方は以下からご覧ください↓↓↓
ソフトテニスから硬式テニスへ転向!バックハンドとボレーの違い
難しいことはさておき、サーブは入れるだけなら簡単です。カッコつけずに、予めラケットを頭の後ろに構えた状態で、低めにトスを上げ、ボールの後ろを軽く叩けばよいのです。これならば、握りがウエスタンだろうがなんだろうが、それほど気にならないですし、少し練習すれば入ります。
唯一のポイントは「トスの位置」です。
トスの位置は、身体の真上より若干前方、です。ベースライン際に立ってサーブを打つので、ベースラインより1歩コートに踏み込んだ位置といえます。その位置にトスしたボールが落ちてくるよう、トスを上げる練習をしていきます。
トスの高さはラケットで叩く時の最高打点がベストですが、多少低くなっても問題ありません。自分の打ちやすい高さで打てればいいです。
トスを上げる時は、肘を曲げないこと。腕を真っ直ぐにして、膝も使って、身体全体の上下運動で上げると安定します。また、掌は軽く開いた状態で指先がひっかからないようにします。
極端な話、トスの位置さえズレなければ、サーブは入ります。真っ直ぐ上げて、真っ直ぐ後ろから叩けばいいだけです。
感覚を掴むために、両手に1つずつボールを持って、トスしたボールに利き手側で持っているボールをサーブのフォームでぶつけてみましょう。ラケットの長さがない分、より簡単にトスの位置の確認ができます。
とにかくサーブを入れたい!という方は、トスの位置さえ間違えなければOKです。しかし、試合で使えるレベルを目指すならば、先に述べたグリップを初め、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
硬式テニスのサーブで手首が痛い!
そもそも何故、サーブはウエスタングリップではダメなのでしょうか。ボールを真後ろから捉えるには、ハエたたきでハエを捉える要領でラケットを振ったほうが簡単です。わざわざ包丁握りにして、フレームショットになるリスクを上げる理由は何なのでしょうか。
1つ目の理由はスピードです。
打球の速さはインパクト時のスイングスピードによって決まります。ウエスタングリップだと腕を振るスピードがそのままスイングスピードになります。しかし、コンチネンタルグリップの場合、ここにプロネーションのスピードが加わります。プロネーションとは、上腕のひねり戻しのことです。すなわち、包丁持ち状態だとフレームショットになってしまうので、サーブの一連の動作のなかで真っ直ぐボールに当たるように上腕をひねる必要が出てくるのですが、このひねる動作がスイングスピードとして上乗せされます。腕の振りが遅くても、上腕のひねり戻しが速ければ速いボールが打てます。
2つ目の理由は回転です。
振ってみればわかると思うのですが、ボールに縦回転や横回転を加えたい場合、ウエスタングリップだと上手くいきません。多少は回転をかけることもできますが、やはりコンチネンタルグリップのほうがかけやすいです。硬式テニスはボールにかける回転の量を調節することで、コート内の様々な場所を狙います。また、サーブの緩急を使うためにも、縦回転のスピンサーブと横回転のスライスサーブが使えたほうが有利です。野球のピッチャーの球種が多いほうが有利なのと同じです。また、回転の少ないフラットサーブより、フォールトしにくいです。
で、私もそうだったのですが、初めてコンチネンタルグリップでサーブを打とうとすると、カスれたようなショットになりがちです。「プロネーション!!」と無理にひねろうとして、腕の筋や手首を痛めたりすることもあります。
コンチネンタルグリップではリストワーク(手首の動き)を使って回転をかける、と聞いていたので、尚のこと手首を痛めてしまいました(苦笑)
最初はボールの右側を叩き、横回転をかけるスライスサーブから覚えるのがよいですが、無理に横回転をかけようと手首をひねる必要はありません。というより、手首はひねってはいけません!手首はほぼ固定した状態で、意識的に動かそうとすることは一切ないのです。
プロネーションは上腕のひねり戻しです。もっと言えば、脚→腰→肩→肘→上腕の順にひねり戻しの力が自然と増幅していきます。なので、上腕をひねると言っても、サーブの一連の動作のなかで自然とそうなるだけで、不自然にひねろうとしてはいけないのです。プロネーションは意識的にやるものではなく、ラケットの動きに自然と腕や身体がついていくくらいの感覚です。
そのために、まず、確認すべきは「スタンス」です(もちろん「トスの位置」は一定に)。
サーブを打つとき、身体が相手コートのほうを向いていませんか?あるいは斜め方向を向いていませんか?ウエスタングリップでポーンと軽く打つのなら、相手コートのほうを向いていてもいいですが、これだとコンチネンタルグリップでは上手く当たりません。それこそ無理にひねらないとカスれたサーブしかできなくなります。
基本スタンスは、相手コートのほうを向いた状態を0°として、そこから90°回転して立ちます。丁度真横を向くイメージです。そして、後足が90°(ベースラインと並行)、前足が45°を向いた状態で、後足に体重を乗せて立ちます。足の間は軽く開く程度でいいです。最後にトスと同時に前足に体重を乗せていきます(後足は前足に寄せても寄せなくてもいいです)。
ストロークを打つ時に、身体は横を向いた状態から腰の回転で打ちますよね?それと同じです。
サーブでも横を向いた状態から、腰の回転で打っていきます。プロネーションはこの腰の回転があくまで自然に肩や上腕に伝えられていくようにするものです。
横向きから身体を回転させて打つようにすれば、変に腕や手首をひねって打たなくてもいいということに気づくでしょう。
練習中は少しでもダメージを軽減するために、ラケットに振動止めをつけてもよいです。
硬式テニスのサーブの打ち方
「トスの位置」と「スタンス」、そしてコンチネンタルグリップでラケットを握ったら、イメージは野球のピッチャーのオーバースローです。下半身で溜めた力が上半身に伝わり、力を抜いた腕がムチのようにしなることでスイングスピードが上がります。違いは、ピッチャーは身体の横でボールをリリースするが、テニスは上だということ。これは身体の軸が斜めに反っていることで、それだけ打点が高くなるためです。軸が斜めなので、ラケット面もボールに対して斜めに当たります。
参考イメージ↓↓↓
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体重を後ろから前に移動することで下半身のタメができ、膝を曲げて右肩を下げて胸を反らせることで弓のようなタメができ、身体を横向きからひねり戻しで開放することで体幹の力を利用できます。
サーブにはフラット、スライス、スピンの主に3種類がありますが、上級者ほど相手にコースや球種を読まれないように同じフォームから繰り出していきます。ボールが打ち出される際の高さ=ボールがバウンドする際の入射角が異なるだけで、打ち方はほとんど変わりません。弾道がネットより高いところを通るとスピンサーブ、ネットぎりぎりになるとフラットサーブや、横回転を加えたスライスサーブになります。
フラットサーブも弾道が真っ直ぐだから「フラットに見える」だけで、実は軽い順回転がかかっています。なので、身体の使い方を覚えたら、回転をかけられるようになることが重要です。
右利きの場合、フラットはほぼ真っ直ぐ当てる、スライスはボールの右側を当てる、スピンはボールの左側を当てるイメージです。それぞれのサーブでトスの位置を少し前にしたり後ろにしたりすることで打ちやすくなります。例えばスライスとフラットのトス位置を通常(ベースラインより少し前)とすると、スピンは下から上にこすり上げて順回転をかけるので、若干トス位置を身体よりにしたほうが打ちやすいかもしれません。
少し長いですがサーブに重要な「ひねり戻し」と「回転」について、以下の動画がすごくわかりやすいので是非見てみてください!
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まとめ
サーブに自信がつくと、テニス全体に自信がつきます。ストロークでミスしても、サーブで取り戻せる。サーブゲームだけは絶対に落とさない!と思えるようになれば、まず負けません。
まずはサーブが安定するよう、トスの位置とスタンスを覚え、ひねり戻しと回転を練習していきましょう!